最後まで手をつけられず残されたミントの視線が痛くてごめん
題『残』 にて
あの日出ていったあなたが振り返りもせずに歩いた桜並木
題『出』 にて
それってさすこし変だよ 友が言い始めて気づく社会のゆがみ
題『変』 にて
定期便みたいにやって来る鬱は片手をあげて微笑んでいる
題『定』 にて
来ないのを知っていたけどヤドリギの下で待ってた百年先も
題『来』 にて
気がついてくれよと願う足取りがいつもの三分の一なこと
題『気』 にて
飛び去った蝶の鱗粉指先についたのなめた 塩辛かった
題『粉』 にて
写経するようにあなたの輪郭をなぞることだけぼくにはできた
題『経』 にて
そのあとに残ったあらゆるがらくたがきみの人生そのものだった
題『あと』 にて
大気圏の中で何かが起こっても地球は丸いままそこにある
題『地』 にて
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