百年も 千年先も 残る歌 人は夢見る うたかたの風に
題『見』 にて
星を見る 君の瞳は まだ遠く 隣の僕を 置き去りのまま
題『まだ』 にて
手のひらに 温もりだけが まだ残る 君の顔さえ 薄れてくのに
題『まだ』 にて
母さんが 紅茶に使う ティーポット まーるい形 誰かに似てる
題『使』 にて
安酒に コンビニ弁当 かっ食らう 君に献杯 二年目の秋
題『食べ物を読み込んで』 にて
明け方の 牛丼屋には 草臥れた 似たもの同士 目を合わせずに
題『食べ物を読み込んで』 にて
焼きたての食パンの上にカレーのせ 妻と語らふ紅茶にレモン
題『食べ物を読み込んで』 にて
幼き日 父に頭を撫でられた 最初で最後ただ一度だけ
題『頭』 にて
夕暮れの 埠頭に潮風 揺れる髪 潤んだ瞳 船が遠ざかる
題『頭』 にて
一つ歌を詠めば達成感と 一つ歌を詠めば喪失感と 詠むほどに入り混じり合う虚無感と
題『自由詠』 にて
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