春雨に桜の木々は花散らし地下の街には若者集う
題『雨』 にて
鄙宿の花を浮かべた露天風呂「ぬっくいのう」と一人呟く
題『方言(テーマ詠)』 にて
「大店のいとはんやつた」と若き日の写真撫でつつ祖母笑み給ふ
題『店』 にて
翡翠を初めて見たと吾子は言う日高の高麗の夏川涼し
題『川』 にて
東京の空へ向かいて旅立ちし二十二歳の道は遥けく
題『東京(テーマ詠)』 にて
形良くふんわり焼けたパンケーキ一緒に食べる人もない朝
題『形』 にて
断食の月にも消えぬいくさの火 天の恵みの雨は降らぬか
題『食(テーマ詠)』 にて
今だけは映画の余韻に浸りたい淡く優しき春の月影
題『映画(テーマ詠)』 にて
黄と白の蝶々は踊る三拍子春の野原に光はみちて
題『三』 にて
廃屋となりし生家に祖母植えし白木蓮は今ぞ咲くらむ
題『白』 にて
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