守るべき線を踏み越す足の裏 温度ばかりが逆流してくる
題『守』 にて
消印の日付の滲む封筒を裂けば指まで染まりゆく三月
題『日』 にて
駅頭の色がほどける朝の風制服の紺が遠くなる
題『色を詠み込んで』 にて
平たい石水を切るたび若返る跳ねる飛沫が僕を貫く
題『平』 にて
砂の丘崩れはじめて正午なり昨日の影を砂の白さに
題『砂』 にて
古い書を焼けば立ち昇る煙はすべて未知なる言葉の骨格
題『書』 にて
レシートの数字を知っている指が夕方の財布を閉じられない
題『知』 にて
口の内側に残る薬の味だけが月曜日をまだ続けている
題『内』 にて
とびらだけ残った家に表札の名字(なまえ)を濡らす春のまぼろし
題『とびら』 にて
うそくさい花と言われた花がある三日目の水、嘘の根を張る
題『嘘』 にて
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