雨宿りしてる二人をそのままにしておくようなまだ止まぬ雨
題『まだ』 にて
君はまだ十五の頃の君のまま吾が胸にある初恋のひと
題『まだ』 にて
仏壇に額づく母の老い深く使徒のごとくに吾も額づく
題『使』 にて
友達にバックドロップ決められて頭を縫いし高一の夏
題『頭』 にて
夢破れ乗り込む人も交れるか故郷行きの夜行バス停
題『夢』 にて
高々と空に伸びたる太き幹雷雨を浴びて黒く光れり
題『高』 にて
暮れ方のテールランプの赤き列異界に誘うごとく並べり
題『赤』 にて
消しゴムでなかったことにできるなら互いに消し合い屑が残らん
付句『消しゴムでなかったことに』 にて
朝風が吹き抜けてゆくホームへと初夏連れて電車入りゆく
題『朝』 にて
サイレンが赤く去りたる都市の夜ネオンに向かいわれ出獄す
題『出』 にて
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