お題 題『初・始』 お題 2023.11.27 ・投稿期間はお題発表から5日間!・短歌は投稿後15分間は編集が可能ですが、十分に確認の上、ご投稿ください。・トップページの注意事項をご確認のうえ、お楽しみください。
初恋がどれか忘れてしまうほどすべての恋が初めてだった
はじめての始発電車ははじめての終電よりも大人を感じ
人生で初めて書いた短歌なら悪くないかと自画自賛する
初恋はビターな味がざらりとす 思い出箱に甘い香(か)残し
まだ母の話はダメだ笑えると思って話し始めたけれど
どの人も始まりがただ違うだけ 地球(ほし)の一コマ共有してる
初雪だ。正月帰るか? それだけの友のメールで帰ると決めた
ひっそりと忍足して冬は来て
挨拶がわり初霜降らす
初任給で父に贈ったバーボンが飲まれぬままで茶箪笥の中
初期化したたましいでしたメモリーをひかりで満たすために生まれた
くちびるに血がにじむほど噛みしめた初めての恋たしかな記憶
株価など知らぬ私が例えよう乱高下する初冬の気温
初と始書き間違えた俳句集仲間に配り恥を掻いた日
分かってた、分かっていたさ最初から君が見つめる先の行方は
もう始めている貴方がいない日々初めての夏初めての冬
夫婦こそ仲睦まじく忘れずに 初めて出逢ったあのときめきを
はじめてはあなたがいいといふ君をそばに抱き寄せそっと口づけ
初めての店は勝手が分からずにうろうろ探すシャーペンの芯
嗚呼嗚呼嗚呼……年を重ね「初めて」が少なくなるを寂しく思う
文語から口語に変えて詠む歌は飛び込み参加始業式中
散歩道なんぞ耐えてか冬の草明日に震える初めての恋
冬に咲く花のけなげに初々しひなたぼこする老いにこやかに
初バイト 初めてもらったお給料 今も大事にとってある
初任給チャランと鳴りたドアの中スパゲッティの匂いのメニュー
初冬がやっとノックするも可愛い名の小春日和が割り込みす
バインミー 初めての味 ノックする
彼の地のアオザイ この地の青春
うそぶいて初めてなんて忘れたと女の性を恨めば哀し
年金手帳私のパスポート初めての世界の扉開く