2023年11月
素敵な歌を作るためには
良い作品を生み出すためには様々な方法があると思います。
1.具体性
良い歌は読み手の頭の中に映像を浮かび上がらせることに成功していると思います。具体物を上手入れることで歌は良くなるはずです。
2.理のないリアリティ
論理的には結びつかずとも、景と情が適度な距離感で結びついていることは良い短歌になる一つの要素だと思います。適度な飛躍や、無理のない連想がポイントだと考えています。
3.想いを託す
読み手がいることを忘れない。読み手が受け取って短歌は完成する。カッコつけたフレーズや、読み手が置いてけぼりな表現は敬遠される理由になります。
創作のヒントになれば幸いです。
評価を集めた歌
題『初・始』
初恋がどれか忘れてしまうほどすべての恋が初めてだった
題『最』
この冬の最低気温の法要も温かだった君を思えば
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
たくさんの人の想いを抱きしめて下り電車は夕暮れの中
題『海』
あまりにもあまりにも澄む君の目に映るくじらが海原をゆく
題『夜』
満月の夜だけ来ないあの猫は大事な用事があるのだろう
題『靴』
かたっぽになってしまった靴下が君の帰りをずっと待ってる
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
よろこびやかなしみさえも友とする各駅停車の私の人生
題『海』
行商のお婆さんが風呂敷をほどけば満ちる海辺の匂い
題『夜』
本棚の銀河鉄道の夜には一番綺麗なしおりを挟む
題『自由詠』
遥かなる旅路を終えた冬の陽が葉っぱの上で輝いている
題『(カタカナ)を詠み込んで』
眩しくて眠れないよとぼやいてる道端の木はイルミネーション
題『中』
輪の中に入れず一人窓ぎわで 本を読むとか外を見るとか
題『自由詠』
たぶん今大事なものに触れたんだ心の中で転がる小石
題『学校(テーマ詠)』
まだ恋もしたことがない弟が余らせている制服の袖
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
まだ暗いホームでひとり深呼吸胸にリュックと18きっぷ
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
金曜の夜に飛び乗るぐらいだし乗り越えられる恋だと思う
題『洋』
洋食を食べさせてやると母の言うお子様ランチに日本の国旗
題『洋』
この地球(ほし)の太平洋の島国の片隅で詠むデジタル短歌
題『大』
上弦の月に向かいて手を合わす 大事な人の病を射てと
題『色を詠み込んで』
雲ひとつないのは嘘になりそうで空の写真に入れる灰色
題『後』
軽やかに見送るはずが火葬した後は誰もが無口になった
題『日』
日の出前まだ夢見てる信号機 寝息のような黄色点滅
題『君』
本当はどんな星空だったろう君の心のプラネタリウム
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
特急が通過するまで待っている君にあのねと言うタイミング
題『電車・新幹線(テーマ詠)』
新幹線窓側がいいと言った君は夢の中で富士山を見る
題『海』
オフィスにて海月の如く漂えばマンボウ顔で白ける上司
題『自由詠』
目の前のできることから一つずつ慌てる気持ち隣に置いて
題『自由詠』
優しさがないのではなく使い方忘れてるだけと言っている風
題『初・始』
はじめての始発電車ははじめての終電よりも大人を感じ
題『和』
和菓子ならギリセーフだとドラ焼きに手が伸びる君ギリアウトだよ