端切れ散るミシンの脇は我が場にて 歌など詠めば今日も昏れゆく
題『場』 にて
古希過ぎても兄の右手が伸びてます やっぱり大きい方のケーキへ
題『です・ます』 にて
真っ白な父の芍薬なぜ咲かぬ 吾がピンクのやたら目立ちて
題『白』 にて
秘密めく恋の話に熱を帯び 少女らはゆく 我を追い越し
題『熱・暑』 にて
元気なる頃に次男の作りたるベランダを 稚魚すいすい泳ぐ
題『ベランダ』 にて
ためらいの白杖つきて来る姉の 手を握りしめ兄待つ店へ
題『自由詠』 にて
野あざみの道歩みつつしりとりの答え返せぬ少年の笑みよ
題『歩』 にて
手作りの小花模様のワンピース鏡に映して 向かう診察
題『花』 にて
底知れぬ不安抱えし一人夜にステップ踏めばポピーになれる
題『不』 にて
来世ならず未来までずっと生きたしと 窓越しに響く孫のピアノ音に
題『来』 にて
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