Jの字のように曲がった鉄釘が一つ転がる廃屋の春
題『アルファベットを読み込んで』 にて
お互いの話は途切れ空白の時間を埋める雨の音かな
題『話』 にて
からからに乾いた喉で告げていた君と別れた日のさよならは
題『から』 にて
飯を食いぼおっとしたまま暮れる日は吾が栄光の平穏記念日
題『記念日(テーマ詠)』 にて
罪も無きほらを吹いては笑わせた父の墓標にただ風が吹く
題『ほら』 にて
夕焼の空に突き出た鉄塔がくれた揺らがぬ鋼の心
題『もらったもの(テーマ詠)』 にて
好きだよと言ってしまって青空に視線が泳ぐ初恋の頃
題『好き』 にて
もう会わぬ決意で告げたさよならが剝き出しのまま路に転がる
題『さよなら(テーマ詠)』 にて
車窓からちらりと見えたあの辺は君と暮らした青春の跡
題『車』 にて
結末を知りたくもない物語君と出会った日から始まる
題『知』 にて
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