お題 題『書』 お題 2024.01.22 ・投稿期間はお題発表から5日間!・短歌は投稿後15分間は編集が可能ですが、十分に確認の上、ご投稿ください。・トップページの注意事項をご確認のうえ、お楽しみください。
今はもう黄ばんだ本の片隅に「産まれた」とあり父の書き込み
『書』の字の横線のあいだ丁寧にそろえるように心ととのえる
いい本が見つかったかな父親の書棚をあさる息子の気配
卓上のカレンダーには妻の字で書かれた記録「おもちのうたすき」
書いて消しまた書いて消し繰り返し 想いを言葉にする難しさ
1センチ超えて出戻る封書には26円ふそくの事態
書く機会少なくなった現代で漢字は読めるが書けなくなって
あなた宛て書いて投函した手紙 宛所なく返ってきてた
図書館で殺人犯の手記を抱き君は世界が終わると言った
「大嫌い」壁に娘の走り書き思春期来たこと教えてくれた
古書捲りゃ[こひし]の文字に蛍光ペン元の持ち主何を思いて
書き順を間違えたかなあの恋はコントロールZにならなくて
IT化義務教育の漢字さえ書かなくなった書けなくなった
積ん読本書棚に溢れし本好きは嬉しい遺伝子なり
黒板に名前を書けば笑われて転校生としての一日
履歴書作成するは28年ぶり思い出すたび踏ん張った日々
職場での飲み会帰り書くLINE
距離感掴めず語尾悩む
「マサラダ」とあるけどたぶんマラサダだ絵葉書に見るワイキキビーチ
退院の農夫の父に書をえらぶ コンパニオンプランツ 支えよ
あこがれが恋の一文字書き起こししのぶもじずりなどと戯れみる
家出せし少女は書類の父母欄に「知らん!」「知らん!!」と書きなぐりけり
日記帳 貴方のことを書き留める 埋まることない空白のページ
手紙などもう何年も書いてない切手は今はいくらだったか?
二回目の清書のつもりも払いがかすれ最高の集中力で
かにかくに書き散らしては掃き捨てて それでも書かずにおれぬ心よ
書き置きに鍵はポストにごめんねと一行残した青春情話
もう少し表現あれば生きる句も書いて悔める所詮と眺め
図書館のあの司書さんのお気に入り
絵本は我に命を与えし
結露する車窓に君の名を書けば頬にはすじ結露