2023年12月
素敵な歌を作るためには
良い作品を生み出すためには様々な方法があると思います。
1.具体性
良い歌は読み手の頭の中に映像を浮かび上がらせることに成功していると思います。具体物を上手入れることで歌は良くなるはずです。
2.理のないリアリティ
論理的には結びつかずとも、景と情が適度な距離感で結びついていることは良い短歌になる一つの要素だと思います。適度な飛躍や、無理のない連想がポイントだと考えています。
3.想いを託す
読み手がいることを忘れない。読み手が受け取って短歌は完成する。カッコつけたフレーズや、読み手が置いてけぼりな表現は敬遠される理由になります。
創作のヒントになれば幸いです。
評価を集めた歌
題『明』
二人きりだと違うのにオフィスでは明朝体で話す先輩
題『完』
完全に葉っぱを落としたプラタナス初めてあなたに会った気がした
題『面積』
散らかったおもちゃの海の面積が徐々に広がりコタツの中まで
題『ても』
愛されていても泣きたい夜はある遠くばかりを照らす灯台
題『笑』
冬晴れの日差しを静かに取り込んでほほ笑む人の目の奥の春
題『解』
シュウマイをレンジで解凍してるから世界が終わるの2分半待って
題『言』
吃音の吾子が必死に紡ぎだす言葉を全部抱きしめたくなる
題『冬(テーマ詠)』
こたつから出られないので遅刻します氷がとけて春になるまで
題『冬(テーマ詠)』
帰宅する息子に付いて来た冬が暖かい部屋でゆっくり溶ける
題『会』
何年も一緒にいてもきっとまだ出会えていないたくさんの君
※作者非表示※『実家(テーマ詠)』
東京と全然違う星空を着ぶくれ親子は庭で見上げる
題『前』
駅前の古い本屋がなくなって活字は空に昇って消えた
題『固有名詞を読み込んで』
夕暮れのミニストップの片隅で再会果たすコロコロコミック
題『過去形の歌』
前はよく来たと懐かしがるきみの横で眺める初めての海
題『ても』
おてもとと書かれた紙で箸置きを上手につくる手元を見てた
題『食卓(テーマ詠)』
久々に家族が揃うちゃぶ台の狭さのぬくみ大晦日の夜
題『真』
あの春の痛みが長い時を経て私の中で真珠になった
題『会』
電線の五線譜並ぶ鳥たちが誰がラの音鳴らすか会議
題『水』
瞳から君の落とした水滴が僕の心で激流になる
題『笑』
たくさんの笑顔にいつも救われてここにおります笑えています
題『前』
声聞けば会いたくなるから3-Aの教室前はさっと駆けゆく
題『変』
機種変で連絡先を失ってやっと過去から解放される
題『面積』
本物の僕よりなぜか鮮やかに僕であるよな影の面積
題『素』
目の前を素通りして行く元カノはあの頃よりも綺麗に見えた
題『ても』
身にまとうものはなくても冬の木は凛として立つこれが私と
題『解』
間違えて乗り換えた汽車楽しくて今のすべてが正解になる
題『見』
散歩道光る川面を横に見て いつものように図書館へ行く
題『続』
父と子の一日を慈しむように明日に続く食器を洗う
題『映』
いつかまた空に還っていく前に映る世界が明るければいい
題『歩』
早足で過ぎる季節を遅らせる君の歩みを僕が見守る