2021-11-25

北大路真彦

磨硝子隔て冷たき幽霊を夏の真昼の光に透かす

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北大路真彦

雨やまずただ冷えてゆく味噌汁の鍋午後からは葉書を書かむ

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北大路真彦

松葉杖突きし男児の背を追ひて傘差す母の背も濡れてをり

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北大路真彦

老ひてゆく鏡の我は泣きもせず敗戦記念日ただ髯を剃る

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北大路真彦

朝ひとり饂飩を煮込む鍋の湯気神在月の暦に染みぬ

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北大路真彦

午後三時白き病室ひとり名も知らぬ母子を黙し見下ろす

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北大路真彦

今日もまた閉ぢられて在る硝子窓見上げ過ぎれば風は冷たし

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北大路真彦

珈琲に渦巻くミルクかき混ぜず無言で見詰む午後五時の祖母

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北大路真彦

朝六時サンダル履きの散歩道涙が出るほど深き海色

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北大路真彦

立冬の朝「サムタイム・サラジェーン」友の葬儀を思ひ出し聴く

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