木村槿 2021-12
木村槿
木村槿 賽の目に切った豆腐を眺めつつアンダルシアの片隅に立つ
薄荷。 ままならぬことが多くて両手でも受け止めきれないキャベツの青さ
薄荷。 つやつやの蜜柑を一つ忍ばせて通勤バッグは少しあたたか
一色凛夏 種子島宇宙センター狭過ぎる海を眼下にロケットは発つ
だいだい 太ももが家の出口につっかえる「わたしをのんで」しまったアリス
かなた小秋 梅干しの種を噛み割り守られた小さな白い希望も食べる
吉村おもち 本社から届く接遇マニュアルの登場人物みんな善人
鈴木精良 仄暗(ほのやみ)の背中は砂丘つめたくて心のありかへ辿れなかった
とりばけい 