お題 題『手』 お題 2024.03.21 ・投稿期間はお題発表から5日間!・短歌は投稿後15分間は編集が可能ですが、十分に確認の上、ご投稿ください。・トップページの注意事項をご確認のうえ、お楽しみください。
我の指しっかり握る小さき手君はこの手でしあわせ掴め
星空に 賢治の詩を 諳んじる 両手を広げ 銀河の下で
ヒーローになったつもりで手を握り二人駆け出す西日の廊下
愛しくて触れていたいと繋いだ手今は転ばぬようにと繋ぐ
僕のこと全部知ってる手のひらはじっと見てると何か言ってくる
手の中に握りしめてるプライドを捨てた人からしあわせになる
脳内に巣食う獣を手なずけて解放させる隙をうかがう
手動ドア開けたら空風吹きつけて肩をすくめて列車を降りる
一つだけずっと約束してること好きなことには手を抜かないで
手のひらに集めておいた春光をそそぎ入れたい花瓶の中へ
挙手したりさよならしたり雄弁な手の持ち主は語るの下手で
あかぎれの小さき手にはクリームを魔法だからと厚く塗るなり
左手と右手をつなぐこの紙を「手紙」の語源としてる 私は
手のひらにまあるく収まるうさぎの子せわしない鼓動も包んで
もう少し手を伸ばしたら掴めるよ君はその夢実現できる
手のひらの夫に踊りの振り付けを操り上手の家庭劇場
「できるかな」のノッポさんの細長き手は幼少の我のあこがれ
目隠しの手のひらはずしそっと見るホラー映画の山場過ぎ去る
振り返り手を振る吾子の立つ道がこっちに動く歩道になあれ
手を振りもせずに去りゆく君の背を春一番はかき消してゆく
吾(あ)が指を握る赤子の手の力伝わりきたり万緑のなか
おさなごのもみじのおてての掬う春土筆にょろにょろたんぽぽふわり
手をつなぎ 桜とメジロみたいにね ともに笑って 春がきたなら
じゃんけんぽんちっちゃな手のひら集まって真剣勝負オニはだれかな
我の手は大きくて農民の手だ遺伝子なのか野良仕事励む
ひと手間をかけて並べた惣菜に追いマヨしてるヤツの食レポ
手のひらに強く握ったサイコロの出た目で決まるような人生
手触りを楽しむ恋の春ひと夜すべて滑らかすこしみじか夜
手に触れてその冷たさを知る君の気付けば足の冷たさも知る
祖母の手のぼた餅器用にまん丸く火鉢の湯気や朝冷え彼岸
マジックとよばれるけれど 手品にはタネがあるけど 魔法には無く