お題 題『瓶』 お題 2024.03.06 ・投稿期間はお題発表から5日間!・短歌は投稿後15分間は編集が可能ですが、十分に確認の上、ご投稿ください。・トップページの注意事項をご確認のうえ、お楽しみください。
役割を終えた瓶たち集まってドレミファソラシドのオーディション
瓶の蓋代わりに開けてくれたとき子の成長をひしと感じた
瓶に花を一輪活けるそれだけで部屋が明るく気持ち明るく
空き瓶に詰めた柚子茶がなくなって霙が降れど春待ち狭間
宅配の牛乳瓶を姉弟で半分に分け飲んでいた頃
誰しもが花瓶に花を活ける時澄んだ瞳に真剣な顔
じいちゃんに駄賃もらって酒屋へと一升瓶と今日も夕焼け
やり場のない涙をつめた瓶だから海に投げても沈むばかりだ
もう行くねラムネの瓶のビー玉は割らずに取り出せないのだから
匙差したはちみつの瓶は昼過ぎの光集めて黄金に溶かす
焼酎の一升瓶を抱え込み義理の親父はちびちび飲んでた
ジャム瓶にそっと閉じ込めたい景色 海と遺跡と街とそれから
透明な 津軽びいどろ 花瓶には さくらさくらの 一輪の花
花冷えか街の空気は瓶のよう いちばん奥のカシミヤを出す
瓶底で陽を集める子に近眼の眼鏡奪われ目が点になる
手の中で冷たく見えるガラス瓶あたたかくて底から撫でる
その瓶を取ってと君は言うけれど悲しいよポン酢ペットボトル
ビードロの酒瓶うれし夏の宵冷酒の酌の紅いマニキュア
吸い込まれ消えてゆきたい気持ちして瓶を覗いている夕まぐれ
ラジオから茶色の小瓶の曲流れ洗濯たたみの手も軽やかに
空き瓶は浮き沈みして流れゆけ小さき空間守りぬきつつ